金剛寺は、東京都青梅市に位置する真言宗豊山派の寺院です。長い歴史を持ち、平将門が開基したと伝えられる由緒ある寺院で、青梅市の地名の由来ともなった「将門誓いの梅」や多くの文化財を有しています。
金剛寺の起源は、承平年間(931年 - 938年)にさかのぼります。平将門がこの地を訪れた際、馬の鞭として使用していた梅の枝を地面に挿し、「私の望みが叶うならこの梅が根付くはずだ、その暁にはここに寺を建立する」と誓いました。その梅の枝は見事に根を張り、将門はその誓いを果たして寺を建立しました。
梅の木が実をつけましたが、不思議なことにその実は成熟せず青いままでした。この梅は「将門誓いの梅」と呼ばれるようになり、その青い梅の実が青梅市の地名の由来となりました。この梅の木は現在も本堂前に立っており、二代目の木が植えられています。
金剛寺は、元亨年間(1321年 - 1324年)に頼遍上人によって中興されました。三田氏、後北条氏、徳川氏と時代を経る中で、当寺は各時代の領主から手厚く保護され、歴史の中で重要な役割を果たしてきました。また、金剛寺は真言宗豊山派の管長を二人輩出しており、その宗教的な影響力も大きなものでした。
金剛寺には、多くの文化財が残されています。特に以下のような重要な文化財が知られています。
鎌倉時代に制作されたこの仏画は、昭和32年に国の重要文化財に指定されました。金箔と金泥で彩られた如意輪観音坐像が中央に描かれ、六本の手を持つその姿は、鎌倉時代の仏教美術の優れた例です。背景には山や樹木、合掌する童子が配置され、上方には彩色された雲が浮かんでいます。細部まで丁寧に描かれたこの作品は、現存する仏画の中でも特に高い評価を受けていますが、現在は画の劣化を防ぐために非公開となっています。
金剛寺の表門は、昭和51年7月1日に東京都指定有形文化財に指定されました。天保12年(1841年)の火災を免れ、現在もその当時の姿をとどめています。表門はかつて朱色に塗られており、俗に「赤門」とも呼ばれています。この門は、桃山時代の建築様式をよく伝えており、歴史的な価値が高いとされています。
金剛寺には、以下のような文化財も所蔵されています。
金剛寺へは、JR青梅線の青梅駅から徒歩15分でアクセス可能です。歴史的な雰囲気を感じながら、金剛寺を訪れてみてはいかがでしょうか。