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雲取山

(くもとりやま)

東京都最高峰からの絶景と豊かな自然

雲取山は、東京都、埼玉県、山梨県の境界に位置する標高2,017.13メートルの山です。東京都の山の中で最も高い山であり、標高2,000メートルを超える唯一の山でもあります。また、奥多摩地域において「日本百名山」に選ばれている唯一の山で、多くの登山愛好家から人気を集めています。

地理と自然環境

雲取山は秩父多摩甲斐国立公園の代表的な山の一つであり、日本百名山、多摩百山に選定されています。山頂には一等三角点が設置されており、晴天時には富士山や南アルプス、関東平野まで見渡せる素晴らしい展望を楽しむことができます。三峰山の一角として、妙法が岳や白岩山とともに並び、特に北西は埼玉県、南西は山梨県と、1都2県の境界を成しています。

水源林としての重要性

1901年(明治34年)、東京府東京市(現在の東京都)は、水源地保全のため、山梨県から多摩川流域を含む山地4万8千ha余りを購入しました。大正末期から昭和初期にかけて、雲取山周辺の稜線には唐松の苗木が植えられ、現在では東京都と山梨県の山林が東京都水道局の水源林として管理されています。このため、雲取山は水源保護の観点からも重要な役割を担っています。

登山ルートとアクセス

雲取山への登山ルートは、山梨県丹波山村や埼玉県秩父市、東京都奥多摩町などから多数存在します。代表的なルートには以下のものがあります:

各コースともに、標高差や距離に応じて体力を要しますが、各所で美しい風景を楽しむことができます。また、途中にある山小屋や温泉施設で休息を取ることも可能です。

山名の由来と伝承

雲取山の山名にはいくつかの説があります。一つは「雲表にそびえ、雲も取れそうな山」というものです。また、「雲海に覆われている形が雲を抱き取っているように見える」という説や、「雲に隠れやすく、サルオガセなどが付いた幽玄な森がある」という説もあります。これらの説は、いずれも山の特徴的な景観や自然環境を表現しています。

登山コース

主なコース

雲取山の登山コースは山梨県・東京都側(多摩川流域)と埼玉県側(荒川流域)に大別されます。山梨県丹波山村の鴨沢や埼玉県秩父市の三峯神社からのコースなど、様々なルートが選べます。

山梨県丹波山村からのコース

東京都奥多摩町からのコース

埼玉県秩父市からのコース

縦走コース

備考

2016年には「山の日」施行記念や老朽化に伴う標識の更新が行われ、東京都と埼玉県による標識の統一が行われました。また、2017年には西暦年数と標高が一致することから、記念登山の人気が高まり、3都県の山岳連盟により「雲取山西暦二千十七年」と記された記念碑が山頂付近に設置されました。この記念碑は1年間限定での設置でした。

通常、雲取山の登山は2日行程で行われますが、健脚な登山者であれば日帰りも可能です。ただし、日帰りの場合は早朝からの登山開始が推奨され、下山時に日没に注意が必要です。日原林道や後山林道などの登山道では、車両通行止めや通行規制がかかることがあり、登山者は計画的な行動が求められます。

周辺の山小屋

2017年6月1日時点の日本郵便「交通困難地・速達取扱地域外一覧」によると、秩父市大滝字の雲取小屋および雲取ヒュッテが交通困難地に指定されていましたが、2023年9月1日時点では指定が解除されています。また、かつて山頂南側には奥多摩小屋が存在しましたが、2019年3月31日をもって閉鎖されています。

交通アクセス

雲取山へは、公共交通機関を利用してのアクセスが可能です。各登山口へはバスの運行があり、東京都奥多摩町や山梨県丹波山村、埼玉県秩父市からのアクセスが便利です。ただし、バスの運行本数が少ないため、事前の時刻表確認が必要です。

雲取山が登場する作品

雲取山は、いくつかの作品やイベントで取り上げられています。例えば、アニメ『ヤマノススメ』では、主人公たちが三峯神社から登り、山頂でテント泊をして鴨沢バス停に下る様子が描かれています。また、『鬼滅の刃』では、物語開始以前に主人公が当山の東京側の山麓で炭焼をしながら生計を立てていたという設定があります。

また、競馬の世界では「雲取賞」という南関東大井競馬場で開催される地方競馬の重賞競走(ダートグレード競走、JpnIII)があり、三冠レースの初戦である羽田盃のステップレースとして位置づけられています。

Information

名称
雲取山
(くもとりやま)

奥多摩・青梅

東京都