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吉野梅郷

(よしの ばいごう)

吉野梅郷は、東京都青梅市に位置する梅園で、かつては関東地方でも有数の観梅の名所として知られていました。しかし、2014年にすべての梅の木が伐採されるという事態が発生し、現在は再生に向けた取り組みが進められています。

概要

吉野梅郷は、青梅市中心部の西部に位置し、日の出山から東に伸びる丘陵と多摩川に挟まれた、長さ4キロメートルにわたる地域です。この地域には、かつて25,000本もの梅の木が植えられており、梅の花が咲き誇る季節には、多くの観光客が訪れていました。青梅市梅の公園を中心に、近隣には個人の梅園も多く点在していました。

地理的特徴

吉野梅郷は、東京都内に位置していますが、都心部よりもやや標高が高く、また丘陵の北面にあるため、梅の見ごろは都心部よりも遅れて訪れます。このため、長い期間にわたって梅の花を楽しむことができました。

プラムポックスウイルスの感染と梅の伐採

2009年4月、吉野梅郷の梅の木にプラムポックスウイルスが感染していることが確認されました。これは梅の木において世界で初めて確認された感染例でした。2010年には感染が確認された123本の梅の木が伐採され、その後も感染木の処理が行われました。

しかし、2013年11月に農林水産省が「プラムポックスウイルスの緊急防除に関する省令」を改正し、感染木の周囲の木も伐採するように定められたため、吉野梅郷内のすべての梅の木が伐採されることとなりました。この伐採は2014年4月4日から5月30日の間に実施され、観梅の名所としての役割を一時的に失いました。

梅の里再生プロジェクト

2015年、梅の里を再生するためにNPO法人「青梅吉野梅郷梅の里未来プロジェクト」が設立されました。このプロジェクトでは、梅の再植樹に向けた準備が進められています。植樹に際しては、伐採から3年間、付近で新たな感染が確認されないことが条件とされています。

主な施設

青梅市梅の公園

吉野梅郷の東南端に位置する「青梅市梅の公園」は、1972年に青梅市によって整備されました。かつては120品種、1,500本の梅の木が植えられていましたが、プラムポックスウイルスの感染拡大を防ぐため、すべての梅の木が伐採されました。公園は通常、入園無料ですが、開花期(おおむね3月中)は有料となります。

青梅きもの博物館

青梅市梅の公園に隣接する「青梅きもの博物館」は、日本の伝統的な着物の展示を行っています。青梅市の観光名所のひとつです。

吉川英治記念館

吉野梅郷近くにある「吉川英治記念館」は、著名な作家吉川英治の資料を展示する記念館です。吉川英治が実際に住んでいた旧宅跡に建てられ、青梅市の観光スポットとして人気があります。

イベント

吉野梅郷では、毎年2月下旬から3月31日まで「梅祭り」が開催されていました。しかし、梅の木がすべて伐採された後、2015年からは「吉野梅郷花まつり」という名称に変更され、様々なイベントが開催されています。

特に3月中旬の日曜日には、周辺の家々が露店を出し、日向和田駅から吉野街道を結ぶ道路(都道199号)でパレードが行われるなど、多くの人々が訪れる賑やかな日となります。また、2016年には「梅の里再生まつり」として、巨大モザイクアートの展示やパレード、グルメマルシェが開かれました。

交通アクセス

鉄道

吉野梅郷へのアクセスには、JR青梅線の日向和田駅が最寄り駅となります。駅からは徒歩約15分で梅郷に到着します。また、日向和田駅から二俣尾駅まで遊歩道が整備されており、散策しながら訪れることができます。

路線バス

また、JR青梅線青梅駅からは都営バスが運行しており、吉野梅林バス停で下車すれば、梅郷にアクセス可能です。

まとめ

吉野梅郷はかつて、関東地方でも有数の観梅スポットとして親しまれていましたが、プラムポックスウイルスの影響で全ての梅の木が伐採されるという困難に直面しました。しかし、地域住民や関係者の努力により、再生に向けた取り組みが進められています。再び満開の梅を楽しむ日が訪れることを期待しつつ、今後も吉野梅郷の再生プロジェクトを見守っていきたいと思います。

Information

名称
吉野梅郷
(よしの ばいごう)

奥多摩・青梅

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