国立公文書館は、日本の独立行政法人であり、歴史資料として重要な公文書などの適切な保存と利用を目的としています。本館は、東京都千代田区北の丸公園に位置し、内閣府が所管する行政執行法人として、職員の身分は国家公務員です。
国立公文書館は、日本政府の付属機関などから移管された歴史資料を含む重要な公文書を一般に公開しています。所蔵資料は、明治時代以来の公文書が約60万冊(2006年3月現在)、旧内閣文庫が約53万冊に及びます。これらの資料は、閲覧室に常設され、一般の方が自由に閲覧できるほか、常設展や企画展を通じて公開されています。
日本における公文書の保存と公開は、かつて各官庁がそれぞれの公文書を保管していた時代に遡ります。しかし、より体系的な保存と公開を実現するため、1971年(昭和46年)に国立公文書館が設立されました。この際、江戸幕府以来の古文書や古書を含む内閣文庫の資料が移管され、東京都千代田区北の丸公園に所在する総理府の附属機関として開館しました。
その後、2001年(平成13年)には「国立公文書館法」に基づき、独立行政法人へと移行しました。また、2007年12月には、公文書館推進議員懇談会が、日本における公文書の収集・管理体制が諸外国に比べて遅れている点を指摘し、体制の強化とともに、将来的に公文書館を独立行政法人から国の機関に戻す方針を首相に提言しました。
1998年、国立公文書館は茨城県つくば市の筑波研究学園都市内に「つくば分館」を設立しました。さらに、2001年には、館の組織として「アジア歴史資料センター」が開設されました。同センターはデジタルアーカイブとして、インターネットを通じてアジア歴史資料を提供することを目的としています。そのため、従来の閲覧室は設けておらず、東京都文京区本郷に事務所を構えています。
2016年5月26日には、衆議院議院運営委員会小委員会において、新国立公文書館を憲政記念館の敷地内に建設することが決定されました。この計画により、さらに充実した公文書の保存と公開体制が整備されることが期待されています。
国立公文書館の所蔵資料は多岐にわたりますが、主なものとして以下のような資料があります:
公文書館では、各官庁で保存期限が過ぎた文書のうち、重要なものを移管し、保存・公開しています。ただし、関東大震災や戦災により失われた文書もあり、全ての記録が保存されているわけではありません。また、個人情報に関わる文書については、公開を制限または禁止しているものもあります。外交関係の公文書は外務省外交史料館、旧陸・海軍関係の公文書は防衛省防衛研究所戦史研究センター史料室、皇室関係の公文書は宮内庁書陵部でそれぞれ所蔵されています。
内閣文庫には、江戸城の紅葉山文庫や昌平坂学問所から引き継がれた古書・古文書、太政官の公文書、政府が収集した古文書・洋書など、貴重な資料群が所蔵されています。
国立公文書館には、公文書ではないものの、個人や団体から寄贈された貴重な書類や書籍も所蔵されています。例えば、竹下登元内閣総理大臣が所持していた元号「平成」の奉書紙なども寄贈されています。
国立公文書館が所蔵する重要文化財には、以下のものがあります:
国立公文書館の所在地は以下の通りです:
東京都千代田区北の丸公園3番2号
最寄り駅は、東京メトロ東西線の竹橋駅です。竹橋駅から徒歩5分でアクセスできます。