科学技術館の展示内容
科学技術館では、5階から2階までの各階にさまざまなテーマの展示室が設けられています。以下では、各展示室の概要とその特徴について紹介します。
5階の展示室
- イリュージョンB・イリュージョンA:視覚や錯覚に関する展示が行われており、理化学研究所が協力しています。
- メカ:機械要素を組み合わせた装置が展示され、実際に体を使って動かすことで、機械の仕組みを体験できます。
- オプト:「光」に関する原理や現象を体験できる展示があり、レーザークラフトの実演も行われます。
- リアル:最新の科学技術の発展を伝える展示室で、理化学研究所の研究成果を紹介しています。
- ワークス:倉庫をイメージした工房で、科学教室が開催されるほか、人が入れるシャボン玉や竜巻発生装置などが設置されています。
4階の展示室
- シンラドーム:全周スクリーンと立体投影によるデジタルドームシアターで、科学ライブショー「ユニバース」が開催されます。
- 鉄の丸公園1丁目:鉄の歴史と未来について学べる展示があり、日本鉄鋼連盟が協力しています。
- NEDO Future Scope:新エネルギー・産業技術総合開発機構による、ロボット分野やエネルギー分野の展示が行われています。
- 建設館:建物の構造や災害対策に関する展示が行われ、日本建設業連合会が協力しています。
3階の展示室
- デンキファクトリー:電気の原理を楽しく学べる参加型展示が行われ、電気事業連合会が協力しています。
- アトミックステーション:原子力エネルギーに関する展示があり、自然エネルギーや化石エネルギーについても紹介されています。
- クスリウム:薬と人間の歴史について解説する展示で、日本製薬工業協会が協力しています。
2階の展示室
- ワクエコ・モーターランド:自動車の運転体験ができるシミュレーターやミニカーの展示が行われています。
- ものづくりの部屋:3Dプリンターやレーザー加工機を使ったワークショップが体験できます。
- 自転車広場:自転車技術の歴史と進化を実物を交えながら紹介する展示室です。
科学技術館のテレビスタジオ
テレビ撮影スタジオの設立と運営
科学技術館の2階および3階の一部にはテレビ撮影用スタジオが設置されています。日本科学技術振興財団は、テレビ事業として「東京12チャンネル」(現:テレビ東京)を運営しており、科学技術館の展示施設の一部は「見学できるテレビスタジオ」として意図されていました。
1970年に設立された千代田ビデオがスタジオ運営を引き継ぎ、TBSのワイドショー『3時にあいましょう』や『スーパーワイド』などの番組がこのスタジオで生放送されました。また、フジテレビや東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の番組収録にも使用されています。
建築と増築の歴史
建物の設計と特徴
科学技術館の建物は、上空から見ると5つの放射状に配置された星形のデザインを持ち、それぞれの棟がB棟からF棟と呼ばれます。中央棟には業務用エレベーターやエスカレーターが配置されており、効率的な動線を確保しています。1962年に建設が始まり、1964年に竣工しました。
増築と改修
1972年から1978年にかけて、各棟の間に平屋の増築が行われました。さらに1982年には記念展示室が増設され、1993年には創立30周年を記念して、C棟とD棟の間にある記念展示室が増築されました。
建物外観の特徴
建物の外壁には、六芒星の形に打ち抜かれたプレキャストコンクリートパネルが使用されており、これは建物を大きく見せるためのデザイン意図が反映されています。これにより、建物が何階建てなのか外観からは判断しにくくなっています。
科学技術館の歴史と今後
計画から開館までの歩み
科学技術館の設置構想は、日本科学技術振興財団の創立準備段階から検討されていました。展示内容は、物理、化学、工学に限定され、青少年を主な対象としながらも、一般国民の知識向上にも寄与することが目指されました。1961年に建設が決定し、1963年に展示内容が確定しました。
2000年以降の発展
2006年には愛・地球博で展示されたロボットの常設展示が開始され、さらに2008年には4階に全天周立体ドームシアター「シンラドーム」がオープンしました。これにより、科学技術館は時代に応じた展示内容の充実を図り、訪れる人々に最新の科学技術を提供し続けています。