東京駅は、東京都千代田区丸の内一丁目に位置する日本を代表するターミナル駅です。東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、東京地下鉄(東京メトロ)の3社が運営するこの駅は、在来線・新幹線・地下鉄が乗り入れる大規模な交通拠点です。特にJR東日本の在来線と新幹線、JR東海の東海道新幹線、東京メトロの丸ノ内線が発着することで知られています。
東京駅は、日本最大のビジネス街である丸の内、大手町、有楽町、八重洲、日本橋、京橋の中心に位置しており、地下街を通じて周辺のオフィスビルと直結しています。このため、ビジネスマンや観光客にとって欠かせない重要な駅となっています。
東京駅は、東海道新幹線と東北新幹線の起点となっており、全国の新幹線網における最大の拠点でもあります。新幹線や在来線を合わせて、1日に約3,000本の列車が発着する日本最大級のターミナル駅であり、乗降客数は世界でも上位にランクインしています。また、プラットホームの数は日本一多く、在来線が地上と地下合わせて9面18線、新幹線が5面10線、地下鉄が1面2線を有しています。駅の面積は約46,800平方メートルに及びます。
東京駅は、1889年に神戸駅まで全通した官設鉄道の新橋駅と私鉄・日本鉄道の上野駅を結ぶ高架鉄道の建設計画から始まりました。1908年に本格的な建設が始まり、1914年12月20日に開業しました。当初の駅舎は、辰野金吾と葛西萬司が設計し、「辰野式ルネッサンス」と呼ばれる豪壮華麗な洋式建築で、3階建ての赤レンガ造りの駅舎が特徴でした。中央には皇室専用の玄関が設けられ、国家の象徴としての位置付けがなされました。
1923年の関東大震災では、東京駅も被災しましたが、大きな被害を受けることはありませんでした。しかし、太平洋戦争末期の1945年5月25日の東京大空襲では、駅舎が大きな損傷を受け、屋根や内装が焼失しました。戦後、1947年までに応急修復が行われましたが、3階建てから2階建てに縮小され、ドームも丸型から台形に変更されました。
1964年に東海道新幹線が開業し、東京駅は日本全国と結ぶ主要な交通拠点となりました。その後、総武地下ホームや京葉地下ホームが開設され、1991年には東北新幹線が乗り入れました。
2000年には、戦災で損傷した丸の内駅舎を創建当初の姿に復原する方針がまとめられました。復原工事は2007年に開始され、2012年に完成しました。この工事では、駅舎を3階建てに戻し、南北両ドームの内外の意匠も忠実に再現されました。また、免震装置の設置や地下の増築も行われ、現在の東京駅は再びその歴史的な姿を取り戻しています。
復原工事では、外壁には創建当初と同じ厚さ15mmの化粧煉瓦が使用され、失われていた装飾も再現されました。ドーム部分の屋根は銅板葺きに戻され、内部の装飾も当時の意匠を忠実に再現しました。また、復原に際しては、現存する資料や写真をもとに詳細な解析が行われ、精緻な工事が施されました。
復原工事を経た東京駅は、2012年に全面再開業し、歴史的建造物としての価値を高めつつ、現代の交通拠点としての機能を充実させています。現在では、新幹線や在来線、地下鉄が乗り入れる日本最大級の駅として、多くの人々に利用されています。また、駅舎内には「東京ステーションギャラリー」や「東京ステーションホテル」も再開業し、文化的な魅力も備えています。
赤レンガの丸の内駅舎は、保存運動の結果として復原が実現しました。この復原により、東京駅はその歴史的価値を再評価され、国の重要文化財にも指定されています。駅舎の復原は、現代の技術を駆使しながらも、過去の姿を忠実に再現することで、多くの人々に愛される存在となっています。
今後も東京駅は、日本の首都東京の玄関口として、多くの人々を迎え入れ続けるでしょう。歴史的建造物としての魅力と、交通の要所としての機能を兼ね備えた東京駅は、国内外の観光客やビジネスマンにとって、ますます重要な拠点となっていくことが期待されます。