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日比谷公会堂

(ひびや こうかいどう)

日比谷公会堂は、東京都千代田区の日比谷公園内に位置する公会堂です。日本で最初の本格的なコンサートホールとして、その歴史的価値が高く評価され、東京都選定歴史的建造物および東京都指定有形文化財(建造物)に指定されています。

施設の概要

日比谷公会堂は、地下1階、地上6階、塔屋4階建ての市政会館との複合建築です。公会堂部分は北側の日比谷公園に面しており、建物は丁字形に配置されています。公会堂の入り口は公園側にあり、2階のバルコニーは公園内の庭園と一体化したデザインとなっています。外観は茶褐色のスクラッチタイルで覆われ、ネオ・ゴシック様式の特徴を持っています。

この建物は鉄骨鉄筋コンクリート造の初期の建物として、建築技術史上重要な位置を占めています。2023年3月、東京都指定有形文化財(建造物)に指定されました。

建設の歴史

1920年(大正9年)、東京市長に就任した後藤新平は、中立的な市政のための調査機関の必要性を訴えました。これを受け、1922年(大正11年)に東京市政調査会が設立されました。この計画には安田善次郎からの350万円という巨額の寄附があり、これを基に市政会館および併設する公会堂の建設が進められました。

建物の設計は、指名設計競技で一等となった佐藤功一によって行われ、1929年に竣工しました。関東大震災の教訓を活かし、地盤は2000本以上の松材で補強されています。現在でも市政会館内には公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所が設置されています。

音楽と文化の拠点としての役割

日比谷公会堂は、東京で唯一の本格的なコンサートホールとして、プロフェッショナルのオーケストラの演奏会やリサイタルが多く開催されていました。1945年(昭和20年)9月6日には、藤原義江らによる戦後初の本格的コンサートもここで開かれています。

しかし、東京文化会館やNHKホール、サントリーホールなどの専用ホールの整備が進むにつれ、日比谷公会堂のコンサートホールとしての地位は次第に低下し、音楽会以外の講演会やイベントの利用が増加しました。クラシック音楽の演奏会はほとんど開催されなくなり、1975年にはバイエルン放送交響楽団の指揮者ラファエル・クーベリックが「音響に問題がある」としてプログラムを変更する事件も起こっています。

再興への取り組み

このような状況に対し、文化人たちは日比谷公会堂の再興を提唱しました。2007年秋には、井上道義の指揮によるドミートリイ・ショスタコーヴィチの交響曲全曲演奏会「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007」が開催され、公会堂の再評価が進められました。

政治と歴史の舞台として

日比谷公会堂は、戦前から政治演説会や国民大会の場としても利用されてきました。自由民主党は、この公会堂で総裁公選を行うための臨時党大会を何度も開催しています。特に、1960年10月12日に発生した浅沼稲次郎暗殺事件は、ここでの立会演説会での出来事でした。

改修工事と再開計画

2014年12月25日、東京都は施設の老朽化および耐震性の問題を理由に、2016年から日比谷公会堂の使用を休止し、大規模改修工事を行うことを発表しました。改修工事では、建物内部を公会堂創建時に近づける計画が進められていますが、バリアフリー化のためのトイレ拡張などの課題もあります。

2023年度中に基本設計を修正し、2024年度の予算案に実施設計費が計上され、2025年度以降に改修工事が着工される予定です。開館100年を迎える2029年に再び利用が再開される見通しです。

所在地とアクセス

日比谷公会堂の所在地は東京都千代田区日比谷公園1-3です。最寄り駅は以下の通りです。

Information

名称
日比谷公会堂
(ひびや こうかいどう)

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