東京国立近代美術館は、独立行政法人国立美術館が運営する美術館です。東京都千代田区北の丸公園内にある本館と、石川県金沢市にある国立工芸館から構成されています。
東京国立近代美術館は、明治時代後半から現代までの近現代美術作品を収集し、常時展示する日本初の美術館として設立されました。これまで企画展中心で「借り物」の展示が主流だった日本の美術館に、初めて美術館自身が美術品を収集し、展示するという新しい形をもたらしました。
2020年度時点で、収蔵品は以下のような内訳になっています:
開館時間は10:00~17:00(金曜日のみ20:00まで)で、休館日は毎週月曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始・展示替期間などとなっています。
東京国立近代美術館は、1952年(昭和27年)12月に文部省設置法に基づき、東京都中央区京橋の旧日活本社ビルを購入して開館しました。これは、日本初の国立美術館として、文部省所轄の下で設立されたもので、当初から多くの注目を集めました。
その後、1969年には千代田区北の丸公園に新館が建設され、新たに本館として再開館しました。この移転は、収蔵品の増加と美術品の管理向上を目的としたものです。
1977年(昭和52年)11月15日には工芸館が開館し、これにより近代美術の範囲がさらに広がりました。工芸館は、明治以降の日本と外国の工芸およびデザイン作品を収集し、多様な展開を見せた戦後の作品にも重点を置いています。
2020年(令和2年)には、東京にあった工芸館が石川県金沢市に移転し、同年10月25日に「国立工芸館」として再開館しました。この移転に伴い、旧工芸館の所蔵作品のうち、工芸品を中心に約1,900点が金沢に移されました。
本館は1969年に千代田区北の丸公園に開館し、その設計は工学博士の谷口吉郎によって行われました。谷口は、近代的な美術館としての機能を持たせるため、建物の設計において、展示空間の拡充とともに、バリアフリー化や耐震工事にも力を入れました。
2002年(平成14年)には、約2年半に及ぶ大規模な増築・改修工事が完了し、本館は再開館しました。この工事では、展示室の大幅な拡充やライブラリ・視聴覚施設の充実が図られ、さらに館内には有名レストラン「クイーン・アリス アクア 東京」も併設されました。
工芸館は、元々東京の北の丸公園に位置していましたが、2020年に金沢市に移転しました。この際、旧第九師団司令部庁舎と金沢偕行社を移築・復原して使用しており、その新しい建物は歴史的価値を保ちながらも、現代の美術館としての機能を果たしています。
移転に伴い、工芸品を中心に約1,900点が金沢に移され、残りの工業デザインやグラフィックデザイン作品は東京本館に残されました。
旧工芸館は、1910年に大日本帝国陸軍の近衛師団司令部庁舎として建設された建物を改修し、1977年に開館しました。この建物は、1972年に国の重要文化財に指定されており、その外観は屋根の葺き替えを除いてほぼ原形を保っています。
旧工芸館では、戦後の工芸作品の収集に特に力を入れ、多様なジャンルの作品を収蔵していました。2020年2月に金沢への移転に伴い閉館し、現在は東京国立近代美術館分室として運用されています。
東京国立近代美術館は、日本の美術史において重要な作品を多く収蔵しており、その中には数々の重要文化財も含まれています。以下はその一部です:
これらの作品は、日本の近代美術の発展に貢献した芸術家たちの作品であり、東京国立近代美術館の収蔵品の中でも特に貴重なものです。
また、工芸館も多くの重要文化財を収蔵しており、その中には以下のような作品があります:
これらの文化財は、日本の工芸の伝統と技術を後世に伝える重要な遺産として、現在も大切に保存されています。