国立国会図書館の歴史
設立の背景と戦前の図書館制度
国立国会図書館の起源は、戦前の大日本帝国憲法下で設立された貴族院図書館、衆議院図書館、および帝国図書館にあります。これらの図書館は、国会議員や行政機関の調査研究を支援するために設立されましたが、戦後、日本国憲法の施行に伴い、新たに国立国会図書館が設立されました。
1947年、日本国憲法とともに施行された国会法第130条により、「国会に国立国会図書館を置く」と定められ、翌年、米国議会図書館をモデルにした新たな国立国会図書館が設立されました。この新しい図書館は、議会図書館であると同時に、国内資料の網羅的収集と整理を目的とする国立図書館としての機能も兼ね備えています。
開館と成長の過程
国立国会図書館は、1948年に赤坂離宮を仮庁舎として正式に開館しました。翌年には、旧帝国図書館を統合し、日本唯一の国立図書館としての地位を確立しました。その後、国会議事堂の北隣に新しい本館が建設され、1961年に開館しました。本館には約205万冊の蔵書が収蔵され、開館当初から大規模な図書館として機能しました。
1970年代には蔵書が順調に増加し、本館の施設が手狭になり始めたため、1986年には隣接地に新館が建設されました。この新館の完成により、国立国会図書館は合計で1,200万冊の図書を収蔵できるようになりました。
関西館の設立と国際子ども図書館
増え続ける蔵書を効率的に保存するため、第二国立国会図書館として関西館が設立されました。関西館は、科学技術関連資料やアジア言語資料、国内博士論文を収蔵し、2002年に開館しました。また、東京の上野にある支部上野図書館は、改築のうえ国際子ども図書館として活用され、2000年に部分開館、2002年に全面開館しました。
21世紀以降の国立国会図書館
電子図書館事業の拡充と組織改革
21世紀に入り、国立国会図書館は電子図書館事業の拡充に注力しています。2005年には国立国会図書館法の改正により館長の国務大臣待遇規定が削除され、2006年には独立行政法人化が提言されるなど、組織のあり方をめぐる動きが続きました。また、2007年には国会関係者以外から初めて長尾真が館長に任命されました。
2014年には図書館向けデジタル化資料送信サービスが開始され、2016年にはお茶の水女子大学前学長の羽入佐和子が女性として初めて館長に就任しました。2022年には「個人向けデジタル化資料送信サービス」が開始され、利用者の利便性が向上しました。
国立国会図書館の今後
国立国会図書館は、国内外の資料を網羅的に収集し、保存・提供することを通じて、引き続き日本の議会活動を支援し、国民に貢献していくことを目指しています。今後もデジタル技術の発展に対応しながら、より多くの利用者に高品質な情報サービスを提供し続けるでしょう。