二重橋は、東京都千代田区千代田の皇居内にある橋の通称です。正確には皇居正門から長和殿へ向かう途中にある二重橋濠に架かる鉄橋のことで、正式な名称は「正門鉄橋(せいもんてつばし)」です。しかし、この名称は「正門鉄橋」と「正門石橋」の2つの橋を総称して用いられることもあります。
普段、一般人が二重橋を渡ることはできませんが、事前に手続きをして皇居を参観する場合や、新年や天皇誕生日の皇居一般参賀時には、鉄橋を渡ることができます。
皇居の正門(旧江戸城西の丸大手門)は、通常は閉じられており、特別な行事や国賓来訪時以外は使用されません。皇居の入口には、石で造られた手前の「正門石橋」と、鉄で造られた奥の「正門鉄橋」があります。外から見ると、皇居前広場→正門外石橋→正門→正門内鉄橋→中門→宮殿東庭→宮殿というルートになります。
「二重橋」とは、正しくは奥にある正門鉄橋のことを指しますが、手前の正門石橋も含めて二重橋と総称されることが多いです。
奥の鉄橋は、かつて江戸城西丸の下乗橋があった場所に架かっています。下乗橋は、青銅製の擬宝珠が欄干に付いた木造橋で、濠が深かったため、橋桁を上下2重にして強度を上げた構造でした。現在の鉄橋は二重構造ではないため、この呼び名に混乱が生じています。
手前の正門石橋は、二連アーチ構造の美しい石橋で、俗称「眼鏡橋」とも呼ばれます。この石橋が二重橋と誤認されることが多いですが、正確には奥の正門鉄橋が「二重橋」と呼ばれています。
「二重橋」という名称は正式なものではなく、一般に用いられてきた通称に過ぎません。宮内庁や環境省も「二重橋」は正門鉄橋のことを指すとしながらも、2つの橋の総称としても用いられると説明しています。
「二重橋事件」として知られる事故は、すべて門の外側にある石橋で発生しており、正門鉄橋では起こっていません。
ローマ字表記では通常「Nijubashi」が用いられますが、道路標識には「Nijyubashi」と表記されているものも多く存在しています。