磐井神社は、東京都大田区大森北に位置する歴史ある神社です。別名「八幡宮」とも呼ばれるこの神社は、古くから地域の人々に親しまれてきました。磐井神社は、格式の高い式内社であり、旧社格は郷社に位置付けられています。江戸時代以前は「鈴森八幡宮」や「鈴の森八幡宮」、「鈴ヶ森八幡宮」とも呼ばれ、武蔵国八幡総社としての役割も果たしていたと伝えられています。さらに、境内には「東海七福神」の一つである弁財天(笠島弁天社)が祀られており、多くの参拝者が訪れます。
磐井神社の祭神は以下の通りです:
磐井神社の創建年代は不詳ですが、伝承によれば敏達天皇の時代に創建されたとされています。『日本三代実録』によると、貞観元年(859年)に「武蔵国従五位磐井神社官社に列す」と記されており、平安時代には『延喜式』にもその名が記載されています。また、武蔵国の八幡宮の総社(総社八幡宮)としての役割も果たしていたとされています。江戸時代には、将軍家からの帰依を受け、「鈴ヶ森八幡(宮)」とも称されるようになりました。この「鈴ヶ森」という地名は、神社に伝わる「鈴石」に由来しており、この石を打つと鈴のような音がすることから名付けられたと言われています。
磐井神社の宝物には、区指定文化財である「鈴石」があります。この石を打つと、「サワサワ」という鈴音が聞こえると言われており、多くの人々から神聖なものとして大切にされています。また、神社の前にはかつて東海道を往来する旅人が利用した霊水の井戸がありました。この井戸が神社の名前の由来となった「磐井の井戸」です。「この水を飲むとき、心が正しければ清水、邪心があれば塩水になる」という伝説があり、霊水や薬水とも呼ばれていたそうです。この井戸は現在でも神社前の歩道上に残されています。
磐井神社の境内には、いくつかの見どころがあります。社殿や本殿のほか、石碑群や神楽殿、そして海豊稲荷神社などが見られます。これらの建物や遺跡は、磐井神社の長い歴史を物語るものです。
磐井神社の社殿は、格式高い造りであり、参拝者を迎える荘厳な佇まいです。境内には本殿をはじめ、様々な石碑や記念碑が点在しています。
境内には神楽殿があり、ここでは様々な祭事や神楽が行われます。また、海豊稲荷神社も境内にあり、地域の人々に親しまれています。
磐井神社は、大田区指定文化財として以下のような貴重な文化財が保存されています:
鈴石・烏石と江戸文人石碑群(金石文):鈴石と烏石は非公開ですが、1974年(昭和49年)2月2日に大田区の有形文化財に指定されました。
磐井神社:1974年(昭和49年)2月2日に史跡として指定されました。
磐井の井戸:1974年(昭和49年)2月2日に史跡として指定されました。
磐井神社へのアクセスは非常に便利で、京浜急行電鉄の大森海岸駅から徒歩で簡単に訪れることができます。