東京港野鳥公園は、東京都大田区東海三丁目に位置する都立の海浜公園です。周囲は大田市場や湾岸道路、首都高速道路などに囲まれており、都市の中にありながら豊かな自然を楽しむことができる場所となっています。この公園は、年間約5万人が訪れる人気のスポットで、面積は約36ヘクタールにも及びます。
東京港野鳥公園は、1978年に「大井第七ふ頭公園」として開園しました。当初は現在の西淡水池周辺部のみの敷地(3.2ヘクタール)で、都民からの拡大を望む声を受け、1989年に「東京港野鳥公園」として再整備され、現在の規模にまで拡大しました。
この公園は、もともと築地市場等を移転させるために造成された埋立地が、自然に池や草原ができたことにより、多くの野鳥が集まるようになり、その環境を保護するために作られたものです。1973年ごろから地域住民による自然保護運動が始まり、東京湾が日本の渡り鳥の中継地点として貴重であることから、東京都は葛西沖と城南地区にサンクチュアリを設けることを決定しました。
この公園は、特に鳥類の生息地として重要視されており、2000年には「東アジア・オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」の参加湿地として国際的に認定されました。2018年には新たに南東側に約11ヘクタールの干潟が整備され、公園全体の面積は約36ヘクタールに拡張されました。
公園内は、淡水、汽水、海水の池を軸に、それぞれの生態系が復元・保全されています。開園以来、210種類以上の野鳥が観察されており、バードウォッチングの名所としても知られています。
東側エリアには、管理事務所や芝生広場、東淡水池、潮入りの池などが広がっており、特に潮入りの池は野鳥の餌場となる干潟があり、初心者でも比較的容易に野鳥観察が楽しめる場所です。また、ネイチャーセンターでは最新の野鳥情報が得られ、観察ロビーには自由に使える望遠鏡が設置されています。
東側エリアには、公園管理事務所や芝生広場、東淡水池、潮入りの池などが広がっています。公園管理事務所では、無料で双眼鏡を貸し出しており、芝生広場では軽食の販売も行われています。東淡水池は、雨水を溜めた池で、周囲にはヨシが茂っています。池の周囲には観察壁が設けられ、静かに観察することが可能です。
潮入りの池は、海の水が出入りする汽水池で、干潟は野鳥の餌場となっており、バードウォッチングには最適なスポットです。また、この池を見渡せるネイチャーセンターは、冷暖房完備の施設で、2階には自由に使える望遠鏡が設置されており、1階には情報展示室や図書コーナーがあります。地下1階には、干潟や磯場の生物を間近に観察できる「ガタガタウォーク」があり、子供から大人まで楽しめる施設です。
一方、西側エリアには、西淡水池、自然生態園、自然学習センターなどがあり、こちらも見逃せないエリアです。西淡水池は園内で最初に作られた池で、周囲には木々が茂り、自然豊かな環境が広がっています。自然生態園は、昔の農村風景を再現したエリアで、小川や田、畑が整備され、子供たちが自然と触れ合うことができる場となっています。
東京港野鳥公園は、自然観察や学習の場として、多くの施設が整備されています。園内には合わせて4つの観察小屋が点在し、それぞれ異なる視点から自然を楽しむことができます。各エリアには望遠鏡が備え付けられており、自由に利用可能です。
また、公園管理事務所は東側エリアの入り口も兼ねており、入園券はここで購入します。入園は管理事務所の券売機で入園券を買って入園しますが、東側エリアと西側エリアは道路を挟んでいるため、一方のエリアからもう一方のエリアに移動する際は、いったん園外に出る必要があります。ただし、速やかに移動すれば、再度入園券を購入する必要はありません。
東京港野鳥公園の開園時間は、季節によって異なります。2月から10月は9時から17時、11月から1月は9時から16時30分までとなっており、入園は閉園時間の30分前まで可能です。定休日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始で、無料の専用駐車場(40台)も用意されています。
アクセスは都バス品98系統「大田市場北門」下車、徒歩約2分。また、京急バス「野鳥公園」下車、徒歩約5分。さらに、東京モノレール流通センター駅から徒歩約15分の距離にあります。
公園の周辺には、東京都中央卸売市場、城南島ふ頭公園、大井ふ頭中央海浜公園などの施設があり、訪れる際には合わせて楽しむことができます。